- Story -
アニーは意識朦朧のまま魔獣の胸に突き立てたナイフにさらに力を込め、深々と根元まで押し込んだ。

アニー「フンッ!」

ググッ… ズブッ…
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魔獣リナ「グギャァァァァッッ!」

魔獣のけたたましい雄叫びが洞窟に響き渡る。

魔獣はアニーを振り払おうと必死に藻掻いているが、アニーは魔獣にしがみついたまま離れない。

魔獣リナ「グエェェェッッ!!」

すると魔獣はナイフを握ったアニーの腕を掴み、強引にナイフを引き抜いてアニーの腕を振り払った。そしてアニーを突き放すと同時に素早く身をひるがえした。その瞬間、太い尻尾がアニーの身体を激しく打ち付け、軽々と弾き飛ばしてしまった。

ブォンッ… ドゴッ!
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魔獣リナ「キシャァァァッ!」
アニー「がはっ!」

アニーはすぐ横の岩に強く叩き付けられ、その場に崩れ落ちた。

魔獣は胸元からおびただしく出血し、苦しそうに肩で息をしているが倒れる様子はない。致命傷に思えるほど深手ではあるが、魔獣は自分が人間とは比べものにならない強靱な肉体を持っていたことに改めて驚いた。

魔獣リナ「ゼェ… ゼェ… 惜しかったな… どうやらこの程度では私を殺せないようだぞ…」

ゆっくりとアニーに近づく魔獣。アニーは完全に意識を失っている。

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魔獣リナ「グルルル… だが、キサマにはここで死んでもらう。」

セリア「ハァ、ハァ… リナ… ダメだ… 堪えてくれ…」

必死にリナをなだめようとするセリアだったが、興奮したリナには聞こえていない。

魔獣リナ「グルルル… キサマを食えば傷が癒えそうな気がする…  ニンゲン… 食ウ…」

怒りと興奮で魔獣からリナの理性が失われ始めている。

セリアは動揺した。もしリナが完全に魔獣化してしまったら、人間に戻せないかもしれない。それはルシールから、くれぐれもリナのゾンビ状態を維持するようにと忠告されていたことだった。

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セリア「リナッ! しっかりしろっ! アンタは人間なんだっ!」

セリアは気力を振り絞って魔獣に駆け寄り、アニーから引き離そうと踏ん張った。

魔獣リナ「グルルル… ハナセッ! ソイツ… 食ワセロッ!」

魔獣はセリアを押しのけようとするが、セリアは必死に食い下がる。

セリア「ダメだっつってんだろっ1!」

魔獣リナ「ウルサイッッ!」

セリア「クソッ…」


バキッ!
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セリア「バカヤローッ!!」

セリアは魔獣の顔を力一杯殴りつけた。セリアのパンチは魔獣にとって何らダメージにはならなかったが、その思いがけない行動に魔獣の動きが止まった。

セリア「よく聞けよリナッ! その人を食ったりしたら… お前っ、絶交だぞっ!」

セリア「もう一緒に寝てやらねぇし、抱っこもしてやらねぇからなっ!」

魔獣は驚いた様子でセリアを見つめている。そしてセリアは魔獣の足元にヘナヘナと座り込んだ。

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魔獣リナ「グルルル… オマエ… 何を言ってるんだ…?」

セリア「ハァ、ハァ… ハァ… リナ…」

魔獣リナ「オマエも私も、たった今コイツに殺されかけたんだぞっ?」

セリア「ハァ、ハァ… だからそれはあのオークが…」

魔獣リナ「そんなことはどうでもいいっ! オマエは私の味方だと言ったよなっ? 私を守ると約束したよなっ?」

魔獣リナ「だがオマエはこの女の味方で、この女を守ったんだっ!」

セリア「ち、違うっ… 私はアンタを守るために…」

魔獣リナ「もういいっ! 結局、私は邪悪な魔物で、オマエは尊い人間の味方なんだろっ!」

魔獣リナ「オマエを信じた私が馬鹿だった…」

セリア「リナ… 何を言って…」

魔獣リナ「オマエたちとはここでお別れだ。私は好きにさせてもらう。」

セリア「え、ちょっと… リナ…」

魔獣リナ「オマエとの旅は悪くなかった。だから今夜はオマエたちを生かしといてやる。」
魔獣リナ「だが、今度私の目の前に現れたら容赦はしないぞっ。覚えておけよ人間共っ!」

魔獣はそう言い残すと、振り向くことなく洞窟の奥へと走り去ってしまった。

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セリア「え… 嘘だろ… そんな… リナ… リ… ナ…」

セリアは去って行く魔獣の後ろ姿を見つめながら意識を失った。


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先生「ひぃぃ… あ、あの… い、行ってしまいましたでしょうか…」

インク「お、おう… もう大丈夫なんじゃないかなぁ。」

魔獣とセリアとのやり取りを愕然と見守っていた先生とインクが恐る恐るセリアたちに近づいて来た。

先生「セリアさんは鎮痛剤の効果で意識を失ったようですわね。出血も止まったようですし、重傷ですが命に関わる状態は脱したと思います。今出来る処置はすべて行いましたわ。」

インク「クエェェッ… 助かったぜ先生ぇぇ…」

ホッと胸をなで下ろすインク。セリアが生きてさえいればどうとでもなる。

次に先生は岩に叩き付けられたアニーに寄り添うと、手際よく鎧を脱がせて深刻な負傷がないかを調べ始めた。

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インク「全部脱がせた方が良いのではありませんか先生。」

先生「いえ、そこまでする必要はありませ… って、ちょっとそこは邪魔ですわぁ。」

ところが意外にもアニーはどこも骨折しておらず、打撲のみの軽傷だった。それは鎧の性能もあったが、アニーの受け身や身体能力の高さを表していた。

先生「よかった… アニーさんは大丈夫そうですわ。」

先生は再びセリアの方へ行くとセリアの負傷した腕を見つめながら考え込んだ。

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先生「何とか診療所まで運ばないと… 今ならまだ腕を接合できるかも…」

インク「クエェッ?! そんなことできんのか先生っ!」

先生「えぇ、元通りにとはいきませんが接合だけなら可能性はありますわ。」

インク「ケケーッ! だったらオレ様も手伝うからすぐやってくれっ! きっと治せるぜっ!」

先生「そ、そうですわね。考えてる暇はありませんわね。やってみますわ…」

先生は切断されたセリアの腕をそっと拾うと、残っていたすべての布を使って腕を包み込んだ。そして布の上から製氷用の凍結剤を振りかけて凍らせると、ゆっくりとインクに差し出した。

先生「これはオバケさんに任せますわ。くれぐれも慎重に扱って下さいね。」

インク「おうっ!」

先生「私はセリアさんを診療所まで抱きかかえて帰りますわ。」

そう言うと先生は意識を失ったセリアを抱き起こし始めた。

先生「ふんっ、よっこらしょっ… さぁ、セリアさん、帰りますわよ。」

セリア「うぅ…」

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インク「先生… ホントに運べるのか? コイツ結構重いぞ?」

先生「ここは危険で不衛生です。私がやるしかありませんわ。」

先生「アニーさんは… 残念ですがここに置いて行きます。彼女はもうすぐ気がつくと思いますし、今はセリアさんを優先しないと…」

2人を同時に助けられないことに先生は悔しそうな表情を見せた。

インク「うむ。先生の判断は正しいぜ。どのみちこの鎧女は信用出来ないからな。」

先生「そ、そんな酷い言い方は…」

インクの言葉に迷いを見せる先生。出来ることならアニーも連れて帰りたい。

その時、アニーが苦しそうな声で先生に話しかけた。

アニー「そ… そのインプの言うとおりだ…」

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アニー「うぅ… どうやら助かったようだな… うっ、身体中が痛いな…」

アニーはぎこちなく身体を起こすと周囲を見回して様子を確かめた。

アニー「さっきのバケモノはどうした? 私はトドメを刺せたのか?」

先生「あのバケモノは立ち去りました。このセリアさんのお陰ですわ… え? アニーさん? 貴女、正気に戻られましたのっ?」

アニー「どうやらそのようだ… 状況はよく分からないが、まずはここを離れよう。」

アニー「それから、あの… その女… セリアは私が運ぶよ。」

先生「でも… アニーさん、貴女お身体は大丈夫ですの?」

アニー「あぁ、これぐらい平気さ。私は身体の頑丈さだけには自信があるんだ。」

すると、インクがアニーの前に立って睨み付けた。

インク「オマエにはセリアを触らせないぞ。さっさとどこかへ行っちまえっ。」

アニー「……」

アニーはゆっくり立ち上がると洞窟の隅へ歩き進み、落ちていた縄で自分の両腕を縛って手枷にした。そして戻って来るとセリアを軽々と抱き上げ、インクに話しかけた。

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アニー「私が気にくわないのは分かるが、先生にはセリアを抱いて森を歩ききるのは無理だ。」

アニー「だから先生はそこの剣を持って私の後ろを歩いてくれ。私がおかしな動きをしたら遠慮無く突き刺すんだ。私が反撃出来ないぐらいにだ。」

アニー「インプは私の動きをしっかり観察して先生に伝えてくれ。」

インク「言われなくてもオマエからは目を離さねぇぞ。」

アニー「そうしてくれ。もし先生がためらったらお前が私を刺せ。私のナイフなら使えるだろう?」

アニーの真剣な言葉にインクは渋々引き下がった。

アニー「それから、これだけは言っておく。」

アニー「私はあなたたちにしてしまったことをすべて覚えている。診療所へ戻ったらすぐに私を拘束してほしい。」

アニー「私は自分が犯した罪に対する罰を受けなければならないし、あなたたちに償いもしなければならない。」

先生「そんな… アニーさんに責任なんて…」

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アニー「もちろんインプ、あなたに対してもだ。」

アニー「でも、今はセリアを助けることに全力を尽くそう。すべてはそれからだ。それでいいか?」

インク「ケッ。分かったからさっさと歩け鎧女。」

先生「アニーさん… きっと悪いようにはしませんからね。」

こうして、4人はノロマの洞窟を後にし、診療所へ向かって深夜の森を歩き始めた。



やっとバトルパートが終わった~(゚∀゚;A)

今回も色々詰め込んで長めになって、しかもセリフだらけですけど、
これが一番簡潔で分かりやすいと判断しました。

さて、これでストーリーが大きく動き、キャラ間に繋がりが出来て、
今後のエロシチュに幅を持たせられるようになったと思っております。
ここは語ると長くなるので割愛(゚∀゚;A)

結局、セリアがやらかして事態を悪化させるという、いうものパターンになりましたが、
先生の苗床化を阻止し、先生の活躍の場を身を持って作ったwということで、
生暖かく見守ってあげて下さい。きっとまだまだやらかしますのでw

次回は診療所でセリア治療&エンディングに向けての事後処理回です。
やっと非エロ地獄の終わりが見えてきました。やれやれ。(゚∀゚;A)
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コメント
この記事へのコメント
この図式は痴話ゲンカ?w
リナちんのいじけっぷりがまるでラブコメで意外~☆ アニーたんが正気に戻るのも意表を突いててGood♪ 先生が地味に名医さんだったらしいのもGood セリりんはこの先、キャプテンスーパーマーケットかジパングの服部半蔵ばりのメカメカしい義手で暮らすのかと思ってた~w 
2018/11/07(水) | URL | kuro [ 編集] #-


リナとの決別は予想外……。
しかしリナの心情とここまでの流れを考えるとこれが一番自然か……。
セリアと分かれたリナの今後と、意識が戻ったセリアさんのリアクションも楽しみですね。

そしてアニーも、洗脳状態でも意識は保っている設定、中々に罪深くていいですねぇ……こちらも今後の展開が楽しみです(゚∀゚)!
あと、ごく自然な流れでインクがアニーにセクハラしてて笑ってしまいましたwww
2018/11/08(木) | URL | 二万マイル [ 編集] #-


Re:kuro様へ
コメントありがとうございます!(・∀・)

痴話喧嘩w

我ながらセリアの絶交のくだりはもうちょっとマシなことを言えないのかと
語彙力の無さが悲しくなりましたねぇw

セリアの腕は綺麗に治す予定です。
メカ義手とか魔力で疼かせたりするのも面白そうですけど、
コイツにそっち系の中二病要素なんて無用かなとw
すでに魔力開放って切り札を持ってますしね。使いこなせてませんがw
2018/11/08(木) | URL | マキシモ [ 編集] #SGu2SoTg


Re:二万マイル様へ
コメントありがとうございます!(・∀・)

予想外だと思ってもらえた上で、自然な流れだと感じてもらえるなんて最高ですよっ!

リナは当分一人旅になるので、他のキャラとは毛色の違うピンチをやれそうで楽しみです。

インクは現段階ではアニーを憎んでおりますが、「罪を憎んで女体憎まず」がモットーですので、
アニーもしっかりセクハラ対象なのでありますw

そう考えると、インクにとっては、今ってちょっとしたハーレム状態ですねぇw
2018/11/08(木) | URL | マキシモ [ 編集] #SGu2SoTg


( ꒪⌓꒪)・・・
予想の上を行くマキシモ氏( ꒪⌓꒪)・・・
 
せっかく再会したセリアとリナだったが、今後どおなるのか?興味津々であります。+(0゚・∀・) +ワクテカ+
 
リナちゃんは、さらに恐ろしい魔獣となり・・・
セリアちゃんは、壮絶なリハビリが待っており・・・
アニーちゃんは、インク君の言いなりに?(*〇-〇)サセマセンデスワ
2018/11/08(木) | URL | へぼっち [ 編集] #Ayc/EPBQ


Re:へぼっち様へ
Pixivとダブルコメントありがとうございます!(・∀・)

今後が気になると言ってもらえて嬉しいです!

リナとセリアを引き離したことでどうなるかは私も楽しみです。
ただ、舞台は診療所へ移動しますので、リナの動向に関しては当分ノープランのまま放置かな?w
平気そうに走り去りましたが、結構な重症ですので、どこかで大人しくしているはず。

先生チームの方は、誰を主役にするかで段取りが変わってくるのですが、
何とか不自然じゃないエロ展開に持っていきたいですねーw
バトルやドラマはしばらくもういいです(゚∀゚;A)
2018/11/08(木) | URL | マキシモ [ 編集] #SGu2SoTg


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